「セクシャルハラスメントによる精神障害等の業務上外の認定について」
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「セクシャルハラスメントによる精神障害等の業務上外の認定について」(基労補発第1201001号)は、セクシュアルハラスメントを受けた場合でも、それ自体によって、あるいはその後の雇用者の対応などによって、起こった障害に対して労災が認定され得るという統一見解を示したものです(2007年12月通達)。
同指針では、「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針」にあてはめて考えるセクシュアルハラスメントの概念、内容、判断指針による評価に際しての留意点についてまとめられています。
セクシャルハラスメントは、日本語では「性的嫌がらせ」のことで、一般的に“セクハラ”と呼ばれています。概念的としては「職場において行われる性的な言動に対する女性労働者の対応により、その女性労働者が労働条件につき不利益を受け、または当該性的な言動により就業環境が害されること」とされ、「性的な言動」とは、「性的な内容の発言」と「性的な行動」のことをいいます。
連合が、女性組合員を対象にしたセクシュアルハラスメントの調査を行なった結果によると、女性の4割が被害を受けていることがわかっており、職場におけるセクハラ行為は後を絶たないのが現実です。
セクシュアルハラスメント行為と認定されるべき具体的な項目としては、
①女性のみ「ちゃん」付けで呼んだり、「女の子」と呼ぶ
②女性には仕事は無理だと決めつける
③性的冗談を言う
④肩、髪、手などに触れる
⑤任意参加の会合で上司の隣に座ることを強要したり、お酌を要求する
⑥身体的特徴を話題にする
⑦会うたびに「結婚はまだか」「子供はまだか」とたずねる
⑧人事考課、配置異動などの配慮を条件に誘う
⑨性的要求や服従や拒否によって雇用上の扱いを変える
⑩性的関係を求める発言を繰り返す
⑪抱きついたり、腰や胸に触れる
⑫繰り返し性的な電話や電子メールなどを送る
⑬職場にポルノ写真やヌード写真を継続的に提示する
⑭性的冗談を繰り返したり、複数の者でしつこくいう
⑮接待でお酌やデュエットを強要する
⑯「性的にふしだら」などと悪質な中傷を繰り返す
⑰私生活上の秘密や個人の性に関するうわさを意図的に流す
などが挙げられます。
以上のような行為は、精神医学上、躁うつ病や薬物依存症、アルコール依存症、パニック障害などの精神疾患の引き金となる可能性が高いとされています。いずれにせよ、セクシュアルハラスメントを生じさせる職場環境の是正も必要であり、欲求不満を起こす職場や閉ざされた職場では、このような行為が起こりやすいといえます。また、セクシュアルハラスメントは個人的な感情から行なう場合と、人員削減や減給を狙って意図的に行なうケースにがあります。
本通達が出されるまで、セクシュアルハラスメントが労災として認められるケースは稀でした。というのも、「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針」において、セクシュアルハラスメントも、業務上、心理的負荷を招き得る具体的出来事の一つとしてあげられていましたが、実際には業務上の行為に当たらないと判断されていたためです。
本通知では、極度のストレスを与えたものについては、その出来事(セクシュアルハラスメント)自体を評価対象し、業務上であるか業務外であるかを決定するとしています。
一方、それ以外のものについては、雇用者のセクシュアルハラスメントに関する雇用管理上の義務、つまり、「セクシュアルハラスメント」防止に関する対応方針の明確化や、その周知・啓発、そして相談・苦情への対応、さらにはセクシュアルハラスメントが生じた場合における事後の迅速かつ適切な対応などを行ってきたかどうかを、出来事(セクシュアルハラスメント)自体と併せて総合的に評価し、心理的負荷の強度を決定するとしています。