「こころ」と「人間関係」
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■「こころ」とは
ストレスに弱いのは、「こころ」がしっかりと育っていないからです。
「こころ」は四面体でできていると考えることができます。4つの面、つまり
「知」「情」「意」「自分らしさ」から構成されている三角錐と考えることができます。
・「知」は、物事をよく理解できる力であり考えをまとめる力である。
・「情」は、相手のこころを思いやることができる力である。
・「意」は、何かをしたいと思うことや、実際にそのことを行動に移す力である。
・「自分らしさ」は、「知」「情」「意」の3つのバランスを支える力である。
このなかで、一番大切なのは、三角錐の底面となる「自分らしさ」です。
この「自分らしさ」のこころを持ってはじめて「知的なこころ」が働き、「相手に対する
情を示すこころ」を働かせることができ、「何かやろうという意欲を持って行動するこころ」
が働きます。
人間のこころがまっすぐな状態とは、この4つの面が同じ大きさでバランスが取れている
状態、つまり正三角錐のかたちを保っている状態と考えることができます。
しかし、同じ体積(こころの大きさ)でも、狭い底面だと重心が高くなりすぎてこころは
不安定になります。つまり、こころの大きさは変わらなくても、自分らしさ(自我)がない
と不安定になるのです。一方、同じ体積でも、側面のバランスが悪いと重心が偏るため不安
定。つまりこころのバランスを崩しやすいといえます。
このようにバランスが悪いと、ちょっと風が吹いたり、風を人の噂と言い換えれば、
人から悪口をいわれるとそれだけでも倒れてしまう「こころ」の持ち主ということになって
しまうのです。
■「自分らしさ」とは
では、「自分らしさ」はどのようにしてできるのでしょうか。こころを卵の形に例えてみ
ます。この卵の中には常時「欲求」というものが詰まっていて、その欲求は膨らんだり縮ん
だりしています。大きく膨らんだときには、卵の中を占拠するようになります。膨らんだ欲求
は卵の外の世界、つまり外界に向けて力をぶつけますが、反対に外界からはその欲求を
抑え込もうとする力(世の中の約束や決まりごとに代表される「規範」)が入り込みます。
このように「欲求」と「規範」が争いあって折り合いをつけたものが「自分らしさ」です。
換言すると、こころの中にある「欲求」とこころに取り入れられた「規範」との闘いによっ
て生まれてくるものが「自分らしさ」といえます。
この「自分らしさ」とは、我が儘や勝手というのとは異なります。我が儘や勝手は、欲求
のまま行動することをいうのであって、こころの中に取り入れられた規範との闘いによって
生み出された「自分らしさ」ではありません。
いま、この「自分らしさ」を育てない子育てが大流行しています。例えば、「親のいうこと
を聞きなさい」とか、「先生の指示に従わない子はいけない子」といった育児や教育の結果、
「上司の指示に従うことがよい社員である」といった考えが導き出され、指示を出す方も指示
を受ける方もそれが当然だというような雰囲気が醸成されています。
しっかりとした「自分らしさ」を持ち、「自分ならどうするか」を考え、「自分はどうした
いのか」を自問しながら課題に取り組むことができる上司・部下との関係でなければ、職場に
おける問題解決の道に近づけません。
ということは指導者自身が自らを省みて、自分に自分らしさが備わっているか否かを考える
ことが重要になってくるのです。
■「人間関係」とは
人は、人と人の間で育ちます。人のこころは人のこころと人のこころの間で育っていきます。
人間関係が「こころ」を育てるといってもよいでしょう。
人間関係を発達的に捉えると次の3段階があります。
①自分よりも年上の存在との関係を通じ ⇒信頼するこころを育む
②自分よりも年下との関係を通じ ⇒自制するこころ(セルフコントロール)を育む
③同年との関係を通じ ⇒自己認識・他者認識のこころを育む
人と人との関係は、この①②③の関係を順番に、そして繰り返していきます。
人はこのような人間関係の段階を順序よく踏んで自立していきます。
いま、こうした発達段階を順序良く踏む子育てをしなくなってきています。ということは、
職場にもこのような段階を経て育った人が少ないということになります。そこに職場における
メンタルヘルス問題の根っこがあるといえます。
上司に求められる指導力とは「人と人を結びつける力」、つまり「人間関係力」なのです。
「人間関係力」をつけるというのは、上記のような順序を踏んできたか否かを職員の一人
ひとりについて考えながら職員理解を深め、其々の職員に課題を担ってもらう配慮をする
必要があるということです。